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JAPOS観測キャンペーン 年末の部分日食を見よう

 2019年12月26日夕方、全国で好条件の部分日食が見られます。令和元年の締めくくりを飾る注目の天文現象です。ぜひお近くの公開天文台で観察して下さい。この日食の予報と、安全な観察方法を紹介します。

【1】部分日食について

 日食は、月が地球を周る過程で太陽を隠す現象です。この時の月は、地球には太陽の影の部分を向けているため、全く見えません。このため、日食が起こると、太陽の一部が欠けたように見えたり、全部が見えなくなったりします。
 2019年12月26日に起こる日食は、インド南部から東南アジア(シンガポール,グアム島など)では、月が太陽の中にすっぽり収まる金環日食となりますが、日本では全国で太陽の一部が欠けて見える「部分日食」が見られます。
 月は地球の周りを、およそ1ヶ月で1周しています。このため、日食は毎月起こりそうな気がしますが、そうではありません。月の軌道は少し傾いているため、通常は太陽の少し北側か南側をすり抜けており、なかなか太陽を隠すことはありません。太陽の一部分のみを隠す「部分日食」は、見える範囲が割りあい広いので、日本でも数年に一度程度は見ることが出来ます。全地球的には、毎年のようにどこかで日食が起こっています。
 日本で見られる日食は、2019年1月6日に続いて2回目となります。さらに約半年後の2020年6月21日にも好条件の部分日食が見られます。


金環日食の原理
日食の原理。金環日食と部分日食の見られるエリア。今回の日食は日本では部分日食となります。

2019-1-6部分日食
2019年1月6日に見られた部分日食(撮影:松下優さん/於:千葉県印西市)

2019-12-26日食帯
2019年12月26日日本付近の日食帯 (データ提供:佐賀市星空学習館 早水勉)

【2】各地の予報

 今回の日食の中心となる金環日食は、日本の南方の東南アジアにあたっているために南日本ほど食分は大きくなります。もっとも今回の金環日食帯はフィリピン南部から東北東へ進行しており、日本列島のカーブに沿っていることから札幌でも0.264とかなり大きな食分の日食がみられます。
 今回の日食は、冬至に近い時期で、また日没前に起こるために太陽の高度が低く、楽な姿勢で観察できることも特徴です。静岡県富士市付近から新潟県上越市付近を結ぶ線の東側では、部分日食が完了する前に日没する日没帯食となります。


12月26日部分日食の局地予報
各地の部分日食の予報(データ提供:佐賀市星空学習館 早水勉)

食分
日食の食分。日食の深度の大きさを表す指標として「食分」がよく使用されます。日食の食分とは、月が太陽を隠した直径の割合です。この図で表すと「B/A」が食分です。太陽面の食された面積ではないので注意ください。

【3】日食の観察

 日食の観察は、太陽面が見えているので、安全に十分配慮する必要があります。太陽に望遠鏡を向けることはたいへん危険を伴い、直接裸眼でのぞくと失明のおそれがあります。また、肉眼で観察する場合、プラスチックの下敷きやカメラ用のNDフィルターでは長時間見続けると網膜に障害を起こす恐れがあります。
 太陽観察用の保護メガネの利用や、太陽投影板の利用で安全に観察しましょう。お近くの公共の天文施設を利用することもお勧めです。


日食の安全な観察
日食の安全な観察(提供:明石市立天文科学館)

12月26日部分日食関連のイベントが行われる施設の情報

アストロアーツ・パオナビに情報を掲載しております。12月26日のイベント一覧 をご参照ください。
詳しくは、直接各天文施設へお問い合わせください。


【4】近年の日本で見られる日食

 2019年は、日本で年間に2度の部分日食の観察できる珍しい年です。それ以前にさかのぼると1992年以来となり27年ぶりの出来ごと(離島を除く)となります。さらに半年後の2020年6月にも部分日食(台湾では金環日食)が見られます。今回のために準備した太陽メガネ(日食メガネ)は、2020年6月にも使えますから大事に保管しておきましょう。なお、2020年6月の日食の後は、2030年6月まで日本全国で見られる日食は10年も起こりません。


         
年月日 都市 食の最大 時刻(JST)
 時 分 秒
食分 備考
2016年3月9日 札幌 11 18 11 0.127 日本で見られた部分日食。
東南アジアから太平洋上で皆既日食。
東京 11  8 26 0.259
大阪 10 58 16 0.233
福岡 10 45 54 0.203
那覇 10 29 17 0.336
2019年1月6日 札幌 10 13 29 0.539 前回見られた部分日食。
中国東部,ロシア極東部でもみられたが、日本付近が好条件。
東京 10  6  5 0.422
大阪 9 57 12 0.378
福岡 9 47 25 0.318
那覇 9 39 18 0.143
2019年12月26日 札幌 15 27  3 0.264 今回の日食。東日本では日没帯食。
インド南部,スリランカ,インドネシアで金環日食。
東京 15 35 27 0.389
大阪 15 31 39 0.369
福岡 15 25 16 0.345
那覇 15 27 37 0.475
2020年6月21日 札幌 17  0 55 0.290 日本全土で見られる部分日食。台湾,中国南部で金環日食。
東京 17 10 12 0.471
大阪 17 10 19 0.538
福岡 17  9 33 0.619
那覇 17 16 43 0.838
2023年4月20日 札幌 日食は見られない 熊本県から千葉県を北限界線とする部分日食。
東ティモール,ニューギニア島西端で皆既日食。
東京
大阪
福岡
那覇 14 28 56 0.021
2030年6月1日 札幌 16 56 35 0.959 北海道で金環日食。日本で見られる金環日食は2012年以来18年ぶりとなる。
東京 17  7 53 0.795
大阪 17  8 26 0.734
福岡 17  8 11 0.660
那覇 17 17 34 0.459
近年の日本で見られる日食(データ提供:佐賀市星空学習館 早水勉)

【5】インターネット中継

施設名
Observatory Name
ネット中継
Live Broadcast
その他
北海道 なよろ市立天文台 YouTube 16時前に太陽は欠けたまま沈みます。部分日食観望会のページ
兵庫県 姫路市宿泊型児童館「星の子館」 YouTube 14:15から開始予定。地形の関係上16:20頃には太陽は見えなくなりそうです。
熊本県 南阿蘇ルナ天文台 YouTube

【6】関連リンク

〇姫路科学館

〇国立天文台

〇アストロアーツ