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2021年5月26日の皆既月食観測キャンペーン
■2021年5月26日 全国で皆既月食が見られる
26日、月出から深夜にかけて全国で皆既月食が見られます。これは、2021年最も注目したい天文現象の一つです。
※塚田健さん(平塚市博物館)が、施設用解説ポスターを作成してくださいました。こちら(東京版)からダウンロードください。モノクロ版(東京版)はこちらです。(札幌版、釧路版、新潟版、名古屋版、金沢版、大阪版、松江版、広島版、高知版、福岡版、鹿児島版、那覇版、が追加されました)塚田さんのご厚意により、自由に印刷・配布できます。
【1】皆既月食について
月食は、地球の影の中に月が侵入し、月面に日照がなくなるために満月が欠けていくように見える現象です。皆既月食では月が地球の影にすっぽりと覆われます。とはいえ、地球の影の内部でも地球の大気で屈折した赤色光により、ほんのりと月面が照らされます。
月食の起こる原理(出典:星空の教科書(技術評論社))
今回の月食は、日没前,月出前に部分月食が始まります。関東地方などの一部を除いて月出時にはちょっとだけ欠けた月が南東天から昇ってきます。月が地球の影に完全に入る皆既は、全国で始まりから終りまで観察することができ、月はふたたび地球の影から少しずつ脱けて、深夜22時前には全過程を終了します。
日本で見られる皆既月食は、2018年7月28日以来3年ぶりとなります。夜半前に見られる月食ですから、各地で観察会も実施されることでしょう。また、この皆既月食は本年の満月で最も地球に近く、報道ではスーパームーンと紹介されています。
(月食予報)
- 部分食の開始 18時44.6分 西日本と北海道は月出前
- 皆既の開始 20時09.4分
- 月食の最大 20時18.7分 食分 1.015
- 皆既の終了 20時28.0分
- 部分食の終了 21時52.8分
2021年5月26日皆既月食の進行
2021年5月26日の月食が見られる地域
前回の皆既月食(2018年7月28日)は、大接近中の火星とのランデブーとなり印象的な光景となった。
撮影:加覧啓孝(鹿児島県天体写真協会)
【2】月食はなぜ赤い?
地球の影に入るにつれて、月は徐々に暗くなります。真っ黒にはならず赤味を帯びた色に染まります。これは、地球に大気があるためです。太陽の光は地球の大気を通過する際に散乱されにくい赤い色だけが残ります。さらに、大気の屈折により赤い光は影の内側にまで曲げられて、月をほんのり赤く照らすのです。 地球の影の境界も、地球の大気のためにぼやけています。
太陽光からの青い光は地球の大気で散乱されやすく、本影にはほとんど残らない。(出典:星空の教科書(技術評論社))
太陽光からの赤い光は地球の大気であまり散乱されずに大気を通過し、さらに大気の屈折により本影の中まで侵入する。(出典:星空の教科書(技術評論社))
皆既月食の進行。月食の時、満月は東側から欠けていきます。皆既中の満月は赤茶色に染まります。
【3】2021年最近の月(スーパームーン)
地球と月の距離が近く、見かけの大きさが最大級となる満月はスーパームーンと呼ばれ、天文ファンのみならず市民の方々の関心も高くマスコミでも報道されています。「スーパームーン」は、もとは占星術の用語だったものが、2011年にNASAのWebサイトで使われた結果広まったようです。なお、天文学的には月との距離がどこまで近づくとスーパームーンとするかの定義はありません。 5月26日の皆既月食はちょうどスーパームーンと同じ満月で、見かけの若干大きな皆既月食を楽しむことができることでしょう。
視直径 | 地心距離 | |
---|---|---|
5月26日 最近の満月 | 33.4’ | 35.746万km |
平均的な満月 | 31.1’ | 38,440万km |
12月19日 最遠の満月 | 29.4’ | 40,593万km |
【4】月食の食分
月食で食の進行度合いを示す割合を「食分」といいます。月食は、地球の影に月が入る現象ですが、月の直径(A)に対して、影に入った長さ(B)の割合(B/A)で計算します。隠された面積ではないことに注意しよう。
「月食の食分= B/A 」
月食の食分は、月が地球の影に完全に隠れた皆既になっても定義されます。皆既中の食分(B/A)は1よりも大きな値となります。その場合の計算は、部分月食の場合をそのまま延長した下図のとおりです。
皆既月食でも「月食の食分= B/A」で計算します。分母は本影の直径でないことに注意。
【5】インターネット中継
【6】関連リンク
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