公開天文台白書 2018

下記よりダウンロードしてください。


はじめに

この度、2006年以来17年ぶりとなる『公開天文台白書2018』を刊行させて頂きます。調査が行われた2018年からコロナ禍を挟み、刊行が遅れましたことをお詫びいたします。

この公開天文台白書は以前、2006年に「今後、公開天文台は時代と共にどのように変化していくのか、公開天文台は社会の中でどのような役割を担っていくべきなのか。現状を把握し未来への展望を見いだすために、日本公開天文台協会の最初の事業として、“公開を目的として設置された、据え付け型及び移動型望遠鏡設備を有する施設”について広く調査し、作成」されました。

それから17年経ち、社会のありさまは大きく変容しました。「はやぶさ」「はやぶさ2」の活躍といったことにより宇宙への関心は非常に大きくなったと思います。それを後押ししたのがスマートフォンの普及による、インターネットでのアクセス、動画配信の増加、写真撮影やSNSによる共有などです。

こういった、新たなデバイスや情報共有のあり方により、公開天文台の対応も変わらざるを得ない時代を迎えています。

その中で、公開天文台の運営は、『公開天文台白書2006』の時よりも、更に多種多様化するとともに不安定な状況に置かれていることも事実です。

本書では、まず第1章で「公開天文台の歴史」を振り返り、第2章で「調査の概要」を説明し、次に第3章で公開天文台の数や望遠鏡についてなど施設の設備面から、観望会などの実施内容、そしてそれを支えている職員の待遇などの運用全体について実態をまとめています。

また、資料として、公開天文台の施設としての全体像を示したものを付けさせていただきました。

今後、公開天文台の運営はどうあるべきか、その道しるべとして、「公開天文台白書2018」がその土台として活用されることを祈ってやみません。

最後に、本書作成にあたり調査にご協力いただいた全国の公開天文台の方々に改めて深く御礼申し上げます。

2023年3月 日本公開天文台協会 会長 村上恭彦 (※2023年当時)

目次

  • 公開天文台白書2018
  • 1-1. 公開天文台の歴史
    (1) 黎明期の公開天文台
    (2) 戦後の静かな天文台ブーム
    (3) 屈折望遠鏡全盛期
    (4) 公開天文台ラッシュ
    (5) 大型化に向かう望遠鏡
    (6) 時代の荒波の中で
  • 1-2. 日本公開天文台協会(JAPOS)について
  • 1-3. これまでの公開天文台調査
  • 2-1. 調査対象
  • 2-2. 調査内容
  • 2-3. 調査方法
  • 2-4. 調査施設
    (1) 回答施設の施設種別
  • 2-5. 回答率
  • 3-1. 施設数の変遷
    (1) 望遠鏡の設置数の変化(2007年以降)
    (2) 全国の望遠鏡の分布
  • 3-2. 施設の位置づけ
    (1) 設置主体
    (2) 運営主体
    (3) 施設の性格(教育/観光)
    (4) 来館者の訪問目的
  • 3-3. 設備
    (1) 公開天文台が保有する望遠鏡
    (2) 観測機材
    (3) プラネタリウム
    (4) 太陽観測望遠鏡
    (5) 移動天文台
    (6) 展示や図書
    (7) 宿泊施設
    (8) 車椅子利用者への対応
  • 3-4. 施設へのアクセス
    (1) 施設へのアクセス方法
    (2) 各施設における商圏
    (3) 地元利用者の割合
  • 3-5. 昼間の公開
    (1) 施設の利用料金
    (2) 施設の開館日数
    (3) 昼間の観望会
  • 3-6. 夜間の公開
    (1) 観望会の料金
    (2) 観望会の参加予約
    (3) 観望会の実施頻度
    (4) 観望会における天体の観望率
    (5) 観望会の実施方法
    (6) 観望会での説明方法
    (7) 出張観望会
  • 3-7. 利用者数と利用者層
    (1) 施設の年間総入場者数
    (2) 昼間の観望会の参加者数
    (3) 夜間観望会の参加者数
    (4) 夜間観望会の参加者数の変化
    (5) 夜間観望会への参加者層
    (6) 直近5年間での参加者層の変化
  • 3-8. 望遠鏡の利用
    (1) 職員による望遠鏡の利用
    (2) 観望会以外の望遠鏡の使用目的
    (3) 観測の頻度
    (4) 観測の勤務としての取り扱い
  • 3-9. 職員体制
    (1) 施設責任者の職務形態
    (2) 施設全体の職員数
    (3) 天文台担当者の雇用形態
    (4) 天文台担当者の職種
    (5) 天文台担当者の天文歴
    (6) 資質向上への予算的措置
  • 3-10. 天文台の経費
    (1) 天文台の運営費
    (2) 天文台の保守整備費
    (3) 望遠鏡やドーム保守整備の頻度
  • 3-11. 指定管理者制度
    (1) 指定管理者制度を導入している割合
    (2) 指定管理者制度の契約期間及び委託内容
    (3) 指定管理者の公募と指定管理者の変化
    (4) 指定管理者制度を導入した施設の変化と問題点
  • 3-12. 施設の評価
    (1) 設置条例
    (2) 諮問的役割をもつ組織
    (3) 対外的な評価
  • 3-13. アンケート回答者
  • あとがき
  • 付録1 アンケート用紙
  • 付録2 日本の公開天文台の分布
  • 付録3 アンケートにご協力いただいた施設
  • 付録4 『公開天文台白書2018』回答施設リスト

発行

日本公開天文台協会(JAPOS)

編集・作成

調査研究委員会 白書編集部(※2023年3月当時)
 綾仁 ⼀哉(編集長/美星天文台
 米澤 樹(副編集長/みさと天文台
 澤田 幸輝(副編集長/和歌山大学大学院観光学研究科
 岩⽳⼝ 栄市(たちばな天文台
 高野 敦史(南阿蘇ルナ天文台
 ⽥中 里佳(かわさき宙と緑の科学館
 宮本 孝志(南阿蘇ルナ天文台
 武藤 祐⼦(南阿蘇ルナ天文台
※ 第1章については、日本公開天文台協会の初代会長である黒田武彦が執筆した文章に、2006年以降の状況を加筆・修正したものである。

謝辞

本紙作成にあたり全国の公開天文台の皆さまに調査票の回答のご協力を頂きました。また、「公開天文台白書2006」を大いに参考にさせて頂きました。特に小野智子氏(国立天文台)からは、2022年2月28日に開催された「白書検討のための勉強会『公開天文台白書を読む会』」への参加を通じて作成時の経験等を伺い、大変参考になる助言をいただきました。
安田岳志氏(姫路科学館)、山根弘也氏(呉市かまがり天体観測館)には送付先の選定、本調査票作成にあたって助言を頂きました。尾久土正己教授(和歌山大学)からは本紙全体の監修を頂きました。
本紙の完成は、これらの方々の協力なしでは成しえなかったものです。末筆ながらこの場をお借りして、皆さまに深く感謝を申し上げます。

お問い合わせ

日本公開天文台協会事務局
staff★koukaitenmondai.jp(★を@に置き換えてください。)