日本公開天文台協会(JAPOS) 第6回全国研修会について(報告)
1.日 時 平成30年1月22日(月)13:00~24日(水)11:00
2.場 所 岐阜県安八郡安八町氷取30
生涯学習センター ハートピア安八
3.テ ー マ -ひとはなぜ宇宙を知りたいのか- 天体観察会の解説技術
: 第1世代~第3世代の全体把握
4.参加人数 15名(現・前・元のJAPOS会長・副会長が5名参加)
5.研修会内容
〇安田会長の開会あいさつの後、坪根担当理事の発表「天文解説員の頭の中-使える小技集4」で、会場が笑いに包まれ大いに沸く中で、セッションが始まりました。
〇その後、12のセッションを3日間にわたって行いました。
今回は、これまでに行ってきた過去10回の研修会を集大成して、3日間でその全貌を体験し・理解していたくだめに、3つの「ねらい」の工夫をしました。
1)「意味」=「なぜ人は宇宙を知りたいのか」を探求する
2)「技術」=天体観察会の4つの世代を学ぶ
3)「形式」=ワークショップ(ファシリテーション)、アクティブラーニングの実際を体験し理解する
1)まず「意味」の軸として、天体観察会へ参加される方(お客様)の参加(来館)動機を理解していただく為に、自分の問題としての「なぜ私は宇宙を知りたいのか」という問いを、最初の第1セッションと最後の第11セッションにおき、3日間の研修の過程の中で、その気づきや学びが自分の中でどのように深まっていくのかを、自分自身で体験していただく流れを作りました。
2)次に「技術」として、天体観察会解説方法の4つの世代の差を、第2セッション~第10セッションまで順に体験していただきながら、その背景の理解と実際の解説技術が身につくように実習を行いました。
3)また「形式」として、これから求められる参加型・自主的・協働の深い学びを観察会の中で実践していくために、社会で行われているワークショップ(ファシリテーション)と、学校教育で行われようとしているアクティブ・ラーニングの、両方の形式で実際に研修を行い、その体験をとおして、形式と基礎的な技術について理解できるようにしました。
このように、「意味」と「技術」と「形式」の3つの軸が、「心技体」のように織り上げられるように構成しました。
一方、A)要素に分解し組み立てなおすという科学的・数理的な手法と、B)人生の脈絡・文脈の中で意味が形作られていくというナラティブ(物語)的な手法との、二つの軸が交わるところに新たな「意味」や「学び」が生まれる事の体験も、隠された大きなテーマでした。
このように非常に中身の詰まった研修会でしたので、テキストの量も200ページを超える分厚いものになり、中には光学系の選択や観察会プログラム企画のセッションのように、頭を使い集中力を要求されるセッションがいくつもあり、(しかも夜には長時間の情報交換会が毎夜あり・・)、参加者のみなさんには本当に大変だったかと思います。
それでも、楽しく実体験を伴った研修活動を無事終えられて、それぞれの方には「やり遂げたぞー」という達成感や、「なるほど、そうだったんだなあ」という腹落ち感もあったのではないかと想像しています(閉会後アンケートをいただきました)。
特に最後の第11セッションと第12セッションにおいては、ア)「なぜ私は宇宙を知りたいのか」という各自の問いに向き合う中での「内面的」気づき、イ)そしてグループワークの中でそれを開示し共有し作業して生み出された「協働」の発見、ウ)さらに全員で話し合い討議する中で見出されていった「場」の学び、と次第に深まる学習と自己教育のプロセスが生まれていき、そこにはみなさんを包む大きな驚きと喜びがありました・・・
これは、私たちがこれから目指したいと思っている、観察会という「場=フォーラム」の中で行われる「第3世代型の天体観察会の構造とプロセス」そのものだったのでないかと思います。
参加されたみなさん、そしてお世話をしていただいたハートピア安八の船越館長をはじめスタッフのみなさん、そしてJAPOSの安田会長、担当理事の坪根さん初め役員のみなさん、本当にありがとうございました。
今回の研修会は、南阿蘇ルナ天文台の宮本と高野と園木が準備させていただきました。
また、次回の研修会でお会いいたしましょう!
研修会の様子